====== マークアップ作業マニュアル ====== マークアップ作業では、資料中に現れる「場所」「日時」「人物」「現象・被害」の各表現をマークアップします。それぞれどのような表現をマークアップすべきか、以下で解説します。 ===== 場所 ===== **特定の地理的場所を指し示す語句**をマークアップしてください。これには地名だけでなく、「此辺」「近辺」などの指示的表現や、「品川より千住まで」といった空間的範囲を指す表現も含まれます。 地名の場合は、次のような表現がマークアップの対象になります。 * 地域・・・国、街道筋、郡、街、丁、村、郷、字など * 地形・・・山、島、川、湖、沼、海、湾など * 施設・・・城、堀、橋、寺、神社、屋敷、温泉など ==== 注意が必要なケース ==== * **指示語を伴う場所表現**・・・「同所」「近辺」「同町」など、場所を指示表現で示すものについても、場所表現としてマークアップしてください。 * **人名が含まれる場所表現**・・・大名屋敷など、場所名に人物名・役職名が含まれる場合、その人名・役職名は「人物」としてマークアップしてください。例:「松平美濃守様御やしき」「黒田豊前守様御やしき」のような表現はそれぞれ、「松平美濃守様」「黒田豊前守様」を人物としてマークアップし、「松平美濃守様御やしき」「黒田豊前守様御やしき」全体を「場所」としてマークアップしてください。「〜やしき」「〜宅」と明示せず、人物の邸宅の意味で個人名を列挙する場合もあります。例:「江戸芝居町焼失の中にて残り候分役者宅は坂東しうか忰[吉弥][中村福助][市村羽左衛門][森田勘弥][尾上菊次郎]其外茶屋二三げん残る」。このような場合は、各人名を「人物」と「場所」両方でマークアップしてください。 * **階層を伴う場所表現**・・・「〇〇郡△△村□□家」のように階層順に地名が表記されている場合、地名を分割せず、一括してマークアップしてください。 * **範囲を示す場所表現について**・・・「本所より深川まで」「品川から千住宿まで」のように、範囲によって場所を指定している場合は、個別の地名ではなく、表現全体をマークアップしてください。次のように地名を複数並記する場合も、「より」や「迄」で括られている場合は単一の場所表現として扱います。「同所御大名下やしき最上様石原丁碩雲寺御舟改役所御馬屋がし迄」「筋違御門より今川ばし通り」。 * **方角を示す表現**・・・「北の方」「東のかは」など、具体的な場所的範囲を指定しない方角的表現は、マークアップの対象から外してください。 * **不特定の場所や建物を指す表現** 「土蔵皆々大破又濱町辺**諸々御屋敷**破損」など。この場合、「諸々御屋敷」は具体的場所を指定するものではないため、マークアップの対象から外してください。この場合は「土蔵皆々__大破__(被害)又__濱町__(場所)辺諸々御屋敷__破損__(被害)」とマークアップします。 ===== 日時 ===== 特定の時刻や時間範囲を指定する次のような表現をマークアップしましょう: * 完全な日時表現・・・「安政二年十月二日夜四ツ時」など * 省略のある日時表現・・・「同月三日朝」「翌廿日」など * 前後関係を示す表現・・・「其後」「其前」など * 時間の範囲を示す表現は、**起点と終点をそれぞれ別にマークアップしてください**。 ===== 人名 ===== 次のような表現をマークアップしましょう: * 単純な人名 * 官職名で人物を指すもの ==== 注意が必要なケース ==== * **人名が含まれる場所表現**・・・大名屋敷など、場所名に人物名・役職名が含まれる場合、その人名・役職名は「人物」としてマークアップしてください。例:「松平美濃守様御やしき」「黒田豊前守様御やしき」のような表現はそれぞれ、「松平美濃守様」「黒田豊前守様」を人物としてマークアップし、「松平美濃守様御やしき」「黒田豊前守様御やしき」全体を「場所」としてマークアップしてください。 ===== 現象・被害 ===== 風雨雷などの自然現象一般、また振動や地割といった地震の随伴現象や、それによる人的・物的被害についての記述をマークアップとします。「現象・被害」をマークアップする際には**現象や被害の種別を示す名詞や動詞などの最小限の表現**をマークアップしてください。**被害が発生した場所や、被害の程度といった付属情報はマークアップする必要はありません**(これらの情報は後のステップで入力するため)。具体的には、次のような語句をマークアップしてください: * **地震の随伴現象**・・・「地ゆれ」「地さけ」「水上がり」など、地震とその随伴現象を示す動詞や名詞。 * **自然現象一般**・・・「雨ふり」「風烈しく」「いなびかりあり」など自然現象一般を記述する動詞や名詞。 * **人的被害**・・・「人死に」「怪我」など人的被害を示す示す動詞や名詞。 * **その他の被害記述**・・・「家潰れ」「出火」など、その他の被害の発生を記述する動詞や名詞。 * **被害の不在についての記述**・・・「つつがなし」「のこる」など地震による被害がなかったことを示す動詞や名詞。 ==== 注意が必要なケース ==== * マークアップは**実際に発生した現象や被害**に限定してください。地震の原因を説明した文章は、「地震」「ゆれ」などのキーワードを含んでいても、マークアップの対象から外してください。